「あなたが誰かを殺した」:東野圭吾最新刊 読む前に読むレビュー!!

2.5
書評


 

東野圭吾 著 「あなたが誰かを殺した」 読了

 

 

 

 大ベストセラー作家、東野圭吾氏の最新刊「あなたが誰かを殺した」を読みました。

この作品は「加賀恭一郎シリーズ」の第12作目になります。

 本記事の後半はネタバレも含むかも知れませんが、前半は未読の方にも参考になる記事なので

「ここからネタバレ」の部分まで、しばらくお付き合いください。

途中の「登場人物紹介」の箇所は、コピペしてメモに残したり、

スマホに保存すると読書の際にたいへん重宝すると思いますよ。

 

1.東野圭吾について

 

今さらここで語る必要もないほどの大ベストセラー作家。

 

東野 圭吾(ひがしの けいご、1958年2月4日 -)は、日本の小説家。
大阪府大阪市生野区生まれ(本籍は東区玉造・現中央区)。
1985年、『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。
999年に『秘密』で日本推理作家協会賞を受賞し、
直木賞候補になってからは毎年のように作品が直木賞候補に挙がり、
2006年に『容疑者Xの献身』で直木賞や本格ミステリ大賞を受賞する。
2009年、日本推理作家協会理事長、2014年から2019年まで、直木賞の選考委員を務める。
                 以上 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より

 

刊行された作品は100冊を超え、国内累計発行部数は1憶部を突破。

映画やTVドラマなど、映像化された作品も多数あります。

加賀恭一郎シリーズの「新参者」(阿部寛主演)や、ガリレオシリーズ(福山雅治主演)、

そしてマスカレードホテル(木村拓哉主演)と言えば、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

大学在学中はアーチェリー部の主将を務めたというスポーツマン。

デビュー作「放課後」などの作品中に、アーチェリーの話題が取り上げられています。

また、40代半ばにスノーボードに魅せられた東野圭吾氏。

『SNOWBOARD MASTERS』という「日本で一番上手いスノーボーダー」を決める

賞金総額日本一のスノーボード大会の発起人としても知られています。

そのためスノーボードやスキーなど、ゲレンデを舞台とした作品も多数あります。

どれを選んでいいのか迷うほどある、代表作やオススメの作品。

それらを紹介したい気持ちはやまやまですが、そういうサイトはたくさんあるので興味のある方は

「東野圭吾 おススメ」などと入力してググってみてください。

 

2.「加賀恭一郎シリーズ」について

 

最新作「あなたが誰かを殺した」の話題に入る前に、「加賀恭一郎シリーズ」について

簡単にお話ししたいと思います。

多くのファンがそうだと思うのですが、このシリーズの作品を読むとき

頭の中では阿部寛があの声と口調でしゃべり、笑い、見つめ、犯人をつきとめます。

 

■「加賀恭一郎シリーズ」作品一覧

 

1.「卒業」(加賀恭一郎・学生時代)

2.「眠りの森」(警視庁捜査一課)

3.「悪意」(警視庁捜査一課)

4.「どちらかが彼女を殺した」(練馬署)

5.「私が彼を殺した」(練馬署)

6.「嘘をもうひとつだけ」(練馬署) 短編集

7.「赤い指」(練馬署) 松宮脩平 金森登紀子 初登場!

8.「新参者」(日本橋署)

9.「麒麟の翼」(日本橋署)

10.「祈りの幕が下りる時」(日本橋署)

11.「希望の糸」(警視庁捜査一課) 松宮脩平が主人公(加賀恭一郎も登場)

12.「あなたが誰かを殺した」(警視庁捜査一課)

 

作品名横のかっこ内は、作品中での加賀恭一郎の所属部署名です。

どれから読んでも楽しめる内容となっていますが、実はおススメの「順番」があります。

キーとなるのは7作目の「赤い指」という作品。

その「赤い指」からは8作目の「新参者」の除いて、12作目の最新刊まで発行順に読むことを

私個人的には是非おススメしたいのです。

「赤い指」では加賀恭一郎と父・加賀隆正との関係に胸を打たれます。

警視庁捜査一課に勤務する松宮脩平が初登場。

松宮脩平は恭一郎の父・隆正の影響で刑事になった、加賀恭一郎の従弟。

「丸顔の」看護師・金森登紀子も初登場。

そういった意味からも、この「赤い指」は重要な作品だと思っています。

金森登紀子については後述します。注目すべき女性です。

映像化された作品では、加賀恭一郎は阿部寛。

松宮修平は溝端淳平、金森登紀子は田中麗奈が演じています。

「祈りの幕が下りる時」では、恭一郎の母のエピソードも描かれています。

 

 

 
 
 

■金森登紀子について

 

前述のように「赤い指」という作品で初登場。

入院中の加賀隆正を担当する、丸顔の看護師です。

隆正の将棋の相手をしていて、その腕前はなかなかのもの。

しかしその「腕前」には秘密があります。

金森登紀子は「赤い指」以降、「麒麟の翼」「祈りの幕が下りる時」

そして最新刊の「あなたが誰かを殺した」にも登場します。

加賀隆正を担当したことが縁で、恭一郎とメールのやりとりを続けます。

ただの「メル友」ではなく、「麒麟の翼」では法事のことで恭一郎に詰め寄る場面があります。

「祈りの幕が下りる時」では恭一郎の捜査活動に協力しています。

「あなたが誰かを殺した」では、所謂ほんのちょい役での登場ですが

見逃せない「ある表現」が添えられています。

「赤い指」ではただの丸顔の看護師でしたが、「祈りの幕が下りる時」では

ある登場人物の感想として「丸顔の綺麗な女性」と書かれています。

そして「あなたが誰かを殺した」では、登紀子の後輩看護師(鷲尾春那)の言葉として

「おそらく登紀子はその男性(加賀恭一郎)に好意を抱いているのだろうと見当を付けていた」

こう書かれているのです。

次回作あたりで、金森登紀子は恭一郎と結ばれるのではないか。

私は密かに期待し、この金森登紀子に注目しているのです。

登場シーンはそれほどありませんが、未読の方は加賀恭一郎との絡みをお楽しみください。

もちろんいきなり「あなたが誰かを殺した」から読むことも全く問題ありません。

未読の作品があって、金森登紀子に注目するなら上記の順番がおススメということです。

 

3.「あなたが誰かを殺した」を読む前にチェック!

 

さて、いよいよ「あなたが誰かを殺した」についての話題です。

まだ「ネタバレ」ではありません。

本の帯にはでかでかと「ミステリ、ど真ん中」のコピー。

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件の謎を、休暇中の加賀恭一郎が解き明かします。

推理の場は、真相を知るために関係者が集まったホテルでの「検証会」

その「検証会」での「結論」以外にも、衝撃的なダメ押しが読者にとどめを刺します。

この作品のタイトルは、その「ダメ押し」の伏線と言っていいかも知れません。

東野圭吾のミステリーを読むときは、最初から油断なく読んでいないと

予想外の伏線回収や展開に驚いてしまいます。

この作品の巻頭に、舞台となる別荘地のイラストマップが付いています。

しかし序盤で私たちが戸惑うのは、その別荘地に集まった人々の名前や

ちょっと複雑な相関関係です。

それでは次に、「あなたが誰かを殺した」に登場する主な人物を紹介します。

コピペあるいはスクショでスマホに保存したり、PCでプリントアウトしてお役立てください。

読み進めながら殺害された人に印を付けたりすれば、より分かりやすいと思います。

 

4.別荘地に集まった人々(登場人物)

 

栗原家

栗原正則  公認会計士

栗原由美子 正則の妻。青山で美容院を経営。顧客には有名人も。

栗原朋香  札幌の中高一貫、寄宿舎付の学校の中学生。

 

高塚家

高塚俊策  会社経営者。

高塚桂子  俊策の妻。

小坂均   高塚俊策の部下。

小坂七海  均の妻。

小坂海斗  均と七海の息子。小学6年生。

 

山之内家  BBQパーティー会場 別荘ではなく本宅

山之内静枝  40代なかば。亡夫は不動産経営 胃癌で死亡
       

鷲尾春那  看護師。山之内静枝の姪(静枝は父の妹)

鷲尾英輔  薬剤師。春那と一昨年の秋に結婚

 

櫻木家

櫻木洋一  総合病院・櫻木病院の院長(経営者)

櫻木千鶴  洋一の妻。

櫻木理恵  櫻木家の一人娘。医大には入れず、櫻木病院事務員として勤務。

的場雅也  櫻木病院の内科医。理恵の婚約者

 

 

 

ここからネタバレ 読んでから読もう

 

舞台は別荘地の近くにあるホテル。

別荘地での連続殺人事件の「主犯」は、序盤であっけなく自首します。

しかし「主犯」の男は「死刑願望」と言うだけで、動機は一切語らず仕舞い。

残された遺族たちは、「なぜ自分たちが被害にあったのか」を究明すべく

「検証会」を開くのでした。

関係者が一堂に会した「検証会」に、鷲尾春那の同行者として参加した加賀恭一郎。

はじめは「司会」として「検証会」を進行させる恭一郎。

しかし「主犯」の妹が栗原朋香の寄宿舎の指導員と称して紛れ込んでいたことが発覚。

そのあたりから加賀恭一郎は司会者から、謎を解明する探偵へと変わっていきます。

そして検証会参加者の中に、殺人犯の共犯者がいることが判明。

参加者間で疑心暗鬼が飛び交う中、あばかれた「共犯者」はまさかの中学生。

両親を殺害された、栗原朋香でした。

しばしば読者を驚かせる、東野圭吾の作品らしいと言えばそうかも知れません。

他の作品のネタバレになるので作品名は明記しませんが、東野圭吾の作品にはこういった

少年少女が殺人犯だったり、重大な犯罪に関わるものがいくつかあります。

「犯人」が大人ならいいというわけではありませんが、ちょっと切なくなる結末ではあります。

 

さて。意外な「共犯者」が判明して終了と思いきや。

やってくれましたね、東野圭吾氏。

 

 

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