
上神立岩(沼島)
1.淡路島は日本のはじまり? ~最初にできた島・淡路島~
前回は古事記・神話をお薦めする理由と、お薦めの「古事記・現代語訳」をご紹介しました。
古事記の神話を読んだあとは、神話ゆかりの地を訪ねるのも一興かと。
「神話」や「古事記」ゆかりの地と言えば、どこをイメージするでしょうか。
まず最初に思い浮かぶのは出雲。
少し古事記をご存知の方なら、九州の高千穂を思い浮かべるかも知れません。
意外に思われるかも知れませんが、関西なら淡路島です。
■沼 島(南あわじ市)
古事記の神話は、先ず「国生み」から始まります。
「国生み神話」の概要を少しご紹介します。
天と地が分かれたばかりで混沌としていたとき、
イザナギとイザナミは天の浮橋に立って、天の沼矛(アメノヌボコ)で海水をかき回します。
そしてその矛の先から落ちた雫が塩の塊となって島が出来ました。
その島が「オノコロ島」で、そこに降り立ったイザナギ・イザナミは天の御柱と宮殿を建て
夫婦の契りを交わして「国生み」をされたのです。
その「オノコロ島」が沼島とされ、天の御柱が上立神岩だと言われています。
古事記の「国生み神話」では、まず淡路島が生まれます。
そして四国、隠岐、九州、壱岐、対馬の順に国が生まれていきます。
上の地図でおわかりかと思いますが、沼島は淡路島の南にある小さな島。
沼島へは淡路島の土生(はぶ)港から船で渡ることが出来ます。
沼島では「おのころクルーズ」という、周遊漁船のサービスもあるそうです。
他に福岡県の能古島もオノコロ島の伝承地だと言われています。
■自凝島神社(おのころじまじんじゃ)

自凝島神社1
自凝島神社(おのころじまじんじゃ)は沼島と同じく南あわじ市にあるのですが、
こちらは淡路島本島にある神社です。
それほど大きな神社ではありませんが、鳥居は21.7mあるそうです。
熊野本宮大社の大斎原(おおゆのはら)の鳥居(約34m)
大神神社の大鳥居(約32m)、最上稲荷(妙教寺)大鳥居(27.5m)
そして平安神宮の鳥居(24.4m)に次ぐ高さなのだそうです。
日本発祥の地であり、多くの神々が生まれた聖地ならではの大鳥居ですね。
自凝島神社に祀られている神さまは当然と言えば当然なのですが、
伊弉諾命(いざなぎのみこと)と伊弉冉命(いざなみのみこと)です。
「縁結びの神」「安産の神」として信仰されているそうです。
神社は鳥居の向こうに見える小高い丘の上に鎮座。
神社ではこの丘が「オノコロ島」だと称しています。
つまりオノコロ島は淡路島の一部になったという伝承のようです。
■伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)

伊弉諾神宮1
淡路島西岸、淡路市多賀にある伊弉諾神宮は淡路国一ノ宮。
ご祭神はこちらも伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)。
実を言いますと、この神社は「古事記ゆかりの地」ではありません。
日本書紀の「神代」にある神話の方で、
イザナギの幽宮(かくれみや=終焉の鎮座地)として示された場所なのです。
古事記では同様の場面で、イザナギの幽宮の地は「淡海の多賀」としています。
それは近江の多賀大社だと言われています。
古事記ゆかりの神社については、別の記事でご紹介します。
このように淡路島は「日本発祥の地」とも言え、神話の島とも言える場所なのです。
ほかにも淡路島には見どころがたくさんあります。
変わったところでは「兵庫県立淡路島公園」内にある「ニジゲンノモリ」
日本の漫画、ゲーム、アニメの世界感を体感できるテーマパークです。
ドラクエウォークをやってる方は洲本港の近くの市民広場も必須。
「淡路島ドラゴンクエスト記念碑」がランドマークになっているのです。
(どうでもいい情報でした。。。)
ドラゴンクエスト生みの親である堀井雄二さんは、洲本市の出身なのだそうです。
淡路島の観光ガイドなら、「ことりっぷ」というガイドブックがお薦めです。
見どころ、地図、グルメ情報が満載で、旅先でもじゃまにならないサイズ。
私は遠出するときは「ことりっぷ」シリーズを利用しています。
2.天橋立 ~高天原と地上をむすぶ架け橋か~
■天橋立と伊根町
天と地の架け橋とも言われる天橋立は京都府の北部、宮津市にあります。
日本三景のひとつで、京都府では京都市に次いで観光客が多い観光地だそうです。
イザナギとイザナミがオノコロ島をつくるときに立った、「天の浮橋」とも言われています。

天橋立
上の写真は「傘松公園」から見下ろした天橋立です。
反対側の天橋立ビューランドも有名ですが、傘松公園からの眺めの方が私は好きです。
ビューランド側には温泉やホテルなどもあります。
傘松公園側のお薦めは「元伊勢」と呼ばれる籠神社(このじんじゃ)。
伊勢神宮・外宮の御祭神「豊受大御神」は、この地から伊勢に招かれたと言われています。
この元伊勢に関する記述は古事記にはありません。
日本書紀の崇神天皇紀と垂仁天皇紀に書かれています。

伊根湾
天橋立から丹後半島を北へ行くと、「舟屋」で有名な伊根町や
浦島伝説の地、浦嶋神社などがあります。
上の写真は「道の駅・舟屋の里伊根」から見下ろした伊根湾です。
(iPhone11proでパノラマ撮影)
3.太安万侶ゆかりの地
古事記は諸家に伝わる帝紀や旧辞を天武天皇が稗田阿礼(ひえだのあれ)に誦習を命じ
太安万侶(おおのやすまろ)がそれらを編纂して元明天皇に献じたものです。

多坐弥志理都比古神社
1979年に奈良市の茶畑から偶然、太安万侶の墓が発見されました。
発見された「墓誌」は奈良県立橿原考古学研究所附属博物館に展示されています。
あまり万人にお薦め出来るような所でもないので
場所などについては、奈良県が配信している「歩くなら」というサイトをご参照下さい。
上の写真は奈良県磯城郡田原本町にある多神社(おおじんじゃ)です。
正式名称は多坐弥志理都比古神社(おおにますみしりつひこじんじゃ)。
古事記を編纂した太安万侶を輩出した多氏ゆかりの神社です。
多氏は安万侶以降から氏を「多」から「太」に改めたのだそうです。

小杜神社
多神社境内の南にある摂社小杜神社(こもりじんじゃ)。
御祭神は太朝臣安萬呂(太安万侶)。
近くには「古事記献上1300年」の記念石碑もあります。
ここは神話ゆかりの地ではありませんが、
古事記を読んだ方にはお薦めしたい場所なのでご紹介しました。
田原本町周辺には「唐古・鍵遺跡」など、見どころがたくさんあります。
4.古事記・神話を読もう
このほかの「古事記・現代語訳 口語訳」の本については
こちらのお薦め記事をご参照ください➡「古事記・神話のススメ1」
次回からは出雲のご紹介や、神話の神々ゆかりの神社などをご紹介します。
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